「人財」の育成は、ベネッセグループ中期経営計画における最重要テーマの一つです。最大の経営資源である「人財」を価値創造の源泉として捉え、2030年に目指す姿を実現するための人財・組織・風土を作り上げることを目指しています。
ベネッセホールディングスでは、代表取締役社長の後継者計画・育成を重要課題と位置付けており、代表取締役社長の後継者計画の策定・運用を実施しています。具体的には、候補者の要件整理、リストアップ、個人別評価などを実施し、個別候補者の配置検討や育成に取り組んでいます。代表取締役社長の後継者計画の策定・運用にあたっては、社外取締役が過半数を占め、社外取締役が委員長を務める指名・報酬委員会にて審議をしており、後継者育成計画の策定・運用における透明性・客観性を担保しています。
最高経営責任者の決定プロセス
グループの成長を牽引する経営層の育成を重視し「次世代リーダー育成プログラム」を2010年より実施しています。
2018年度からはグループ各社よりリストアップした約100人の事業会社の次の経営を担える人財を対象にし、継続的、計画的な育成の取り組みを開始。選抜した候補者への研修、外部派遣、コーチングなどそれぞれの育成計画に沿ったプログラムを実施するとともに、経営層で情報を共有し、多様な角度からレビューを行う機会を定期的に設けています。
同じく2018年度から若手人財を育成する目的で「ベネッセユニバーシティ」を創設。グループ各社より選抜された約20人の若手社員が経営幹部や外部講師の講義や直島での合宿研修、現実の課題解決に挑戦するアクションラーニングなどを約5ヶ月にわたり実施し「行動を起こせる人財」の育成のみならず、参加者同士の切磋琢磨する経験から相互交流が深まり、カンパニーの枠を超えた事業連携にもつながっています。
「学び」を通じて今まで以上にお客様への提供価値を高め、それを楽しんでいる従業員が成長実感をもっていきいきと働いている状態がベネッセグループが目指す働く姿です。「よく生きる」の価値観の下、社員全員が成長を実感し、その成長が企業・事業の成長につながる「ラーニングカルチャー」の風土醸成に注力しています。
教育業界におけるデジタル化が急激に進む中、IT関連部署などに限らず、社員全員がデジタルスキルを学び、実践していくことが重要です。ベネッセグループでは、社内外のデジタル人材を有効活用し、事業のデジタル化を本格的に進めていく「Digital Innovation Partners」という仕組みを作り、社内においても、DXリテラシーチェックなどのアセスメントや研修プログラムの展開を通じたデジタルの知見を深める学びを提供するなど、社員の「Re-skill」を推進しています。
2023年度は、上記活動に加え、DX人材の専門性を活かせる仕組みの構築、実践型研修プログラムの開発などを実施予定です。
●DX認定事業者
2021年5月に、経済産業省が定めるDX(デジタルトランスフォーメーション)認定制度に基づく「DX認定事業者」としての認定を取得しました。
<DX認定制度>
2020年5月15日に施行された「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」に基づく認定制度です。本認定制度では、国が策定した指針を踏まえ、優良な取り組みを行う事業者を申請に基づいて認定します。
ベネッセグループの主要子会社であり、教育事業を担うベネッセコーポレーションでは「中期的な視点を持ち事業成長を実現するために、全員のポテンシャルを最大化し戦力化する」ことを人材開発の基本方針とし、事業成長を支える組織力を強化するために、事業計画に整合した必要人財の確保を継続的に行い、組織能力を獲得するとともに、個人のキャリア開発・エンゲージメントと整合する適材適所配置を実現することを目指しています。各等級ステージに求められる姿勢・スキルを学ぶ「会社が指定する学びの機会」の提供に加え、自律した学びを進め、リスキルを促進するための「自身で学びを設計する支援」を行っています。
※「Udemy」:米国法人Udemy, Inc.が運営する世界5,700万人以上が学ぶオンライン学習プラットフォーム。世界中の「教えたい人(講師)」と「学びたい人(受講生)」をオンラインでつなげている。ベネッセコーポレーションは、Udemy社とは日本における独占的業務提携を2015年より行っており、従業員にも提供しています
2021年度より目標評価制度と、セルフラーニングの基盤を統合したシステムを導入しています。自分の仕事の価値を高めるためにどんな学びが必要なのかを、上司とシステム上でコミュニケーションし、自分の学習をアップデートしていきます。その取り組み状況は上司も把握できるようになっており、また、各組織に留まっていた研修等の資料や動画などのナレッジを全社で共有し、活きた学びに触れる機会を増やしています。2022年度からは同システムに「キャリアプラン」を導入しました。全員が自分の経歴や経験・資格の棚卸と、今後の方向性などの意志を明確にするワークシートを活用し、キャリアの方向性を可視化。中間および期末の目標に対する進捗・評価面談の実施に加え、個別の学びや能力開発、業務の状況に合わせ、適宜上司と強みや今後の能力開発テーマについてのコミュニケーションを図る体制をとっています。また、マネジメントの質向上に向けた取り組みとして多次元の業績評価(360度サーベイ)を実施しています。
2019年度 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
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総額(百万円) | 127 | 142 | 131 | 132 | 176 |
一人当たり費用(円) | — | — | — | 91,411 | 76,905 |
一人当たり時間(時間) | — | — | — | 21.9 | 26.7 |
※ACP:アドバンス・ケア・プランニング(人生会議)。人生の最終段階の医療・ケアについて、本人を主体に、家族等や医療・ケアチームが、事前に繰り返し話し合うプロセス
自分はどう成長したいのか、誰のためにどんな価値を提供したいのかを考え、目標管理と能力開発を行う「成長プラン」を導入しています。介護を通してお客様にどのような価値を提供するのかを示した『5つのコアバリュー』をもとにした「5つのサービスのスタイル」と「3つの仕事のスタイル」を軸に、「会社からの期待」「職員の目指したい姿」と「現状」とのギャップを常に確認しながら、上司と相談し、ステップを踏んで専門性を高めていきます。
具体的には「成長プラン」というシートを活用し、まずは社員自身が「目指したい姿」と高めたい「専門性」を意思表示。その上で「会社からの期待」を踏まえ、毎年期初に、上長とその年度の目標設定を行います。中間および期末に目標に対する進捗・評価面談を行うことに加え、日々コミュニケーションをとりながら、社員の目標達成と専門性の向上を支援しています。
各社における人財育成・キャリア開発に加え、ベネッセグループ全体で、グループ各社での業務に応募できる機会を社員に提供しています(年1回/異動可能な会社間に限る)。それぞれでのキャリア経験を個人の成長の機会と捉え、会社の枠を超えて新しい仕事にチャレンジできる機会となっています。応募後、 書類審査や面談等を実施し、異動検討を行い、合否の判断を行います。
2022年12月、公益社団法人企業情報化協会が、"IT を活用した経営革新"に顕著な努力を払い優れた成果をあげたと認めうる企業・機関・事業所・部門に対して贈るIT賞において、「ベネッセグループのIT・DX部門の全社統合による事業推進体制の構築」がトランスフォーメンション部門にて受賞しました。受賞にあたって、「事業そのもののDX転換と横断的な人材の育成を軸とした取り組みはDXの本質をついたものであり、大いにベンチマークされるべきである」との評価をいただきました。
なお、介護現場でのデジタル化の取り組み「マジ神AIの開発」が顧客・事業機能領域において、同時受賞しています。
株式会社三菱総合研究所主催、東洋経済新報社協力、厚生労働省・東京証券取引所が後援する、社員のキャリア形成や活躍機会の提供を志向している企業を表彰する「第4回プラチナキャリア・アワード」にて、ベネッセホールディングスが「優秀賞」を受賞しました。表彰理由は以下の通りです。
最終更新日:2023年08月28日