「人財」の育成は、ベネッセグループ中期経営計画における最重要テーマの1つです。最大の経営資源である「人財」を価値創造の源泉として捉え、2030年に目指す姿を実現するための人財・組織・風土づくりを進めています。そのために、徹底した顧客志向を持ち、お互いが信頼しあう組織の中で、全員がリーダーシップ(当事者意識・主体性)を発揮し、変革・成長し続けるチームを作ることができる人財を育成し続けています。また、新しい価値を提供するために、誰もが学び、成長実感を得られる状態を目指し、ラーニングカルチャーの風土を醸成しています。特にDX人財の育成に向けて「社員のリスキル」に力を入れて取り組んでいます。
ベネッセホールディングスでは、代表取締役社長の後継者計画・育成を重要課題と位置付けており、代表取締役社長の後継者計画の策定・運用を実施しています。具体的には、候補者の要件整理、リストアップ、個人別評価などを実施し、個別候補者の配置検討や育成に取り組んでいます。代表取締役社長の後継者計画の策定・運用にあたっては、社外取締役が過半数を占め、社外取締役が委員長を務める指名・報酬委員会にて審議をしており、後継者育成計画の策定・運用における透明性・客観性を担保しています。
最高経営責任者の決定プロセス
グループの成長を牽引する経営層の育成を重視し、「次世代リーダー育成プログラム」を2010年より実施しています。
事業会社の次の経営を担える人財を対象にし、継続的、計画的な育成の取り組みを開始。選抜した候補者への研修、外部派遣、コーチングなどそれぞれの育成計画に沿ったプログラムを実施するとともに、経営層で情報を共有し、多様な角度からレビューを行う機会を定期的に設けています。
また、2023年度から開始しているキャリア開発会議の一環として、全社横断で幹部層並びに優秀人財に関する情報を経営層が共有し、育成方針を検討する機会を設けています。
ベネッセグループでは、中期経営計画の実現に向けて、特に必要な組織能力としてデジタル人財の確保・育成を重要なテーマに掲げています。ITやデジタル活用に対する各事業のニーズが高まる中、DX人財の充足に向けて、DXの各職種のスキル定義を行い、全社員のスキルを把握するとともに、DX職種の必要数を事業ニーズから算定することで、DX職種の充足状況を可視化しています。不足しているポジションについては、既存社員のリスキル施策を通じて充足を進めています。なお、2023年度のDX職種の充足率は85.3%(2022年度実績:80.1%)でした。
また、変革を担う人財の育成に向けて「既存社員のリスキル」にも力を入れて取り組んでおり、現場でのOJTに加えて、社内事例を豊富に含んだ研修プログラムを受講できるようにする等の能力開発支援を行っています。一般知識においては、21万以上のコースからなるビジネス系デジタル動画のプラットフォームである「Udemy Business」を用意し、従業員が自由に利用できるように環境を整備。2023年度の研修プログラムの参加者はのべ9,199人(対前年比141%)※に上ります。従業員一人ひとりが自律したリスキルを進めていけるよう、「ITパスポート試験」レベルのIT知識の習得状況の現在地を測ることができるアセスメントを提供し、その結果に基づき、個別最適な学習コンテンツの推奨なども行っています。
※ベネッセコーポレーション内の人数
ベネッセグループの主要子会社であり、教育事業を担うベネッセコーポレーションでは「中期的な視点を持ち事業成長を実現するために、全員のポテンシャルを最大化し戦力化する」ことを人財開発の基本方針とし、事業成長を支える組織力を強化するために、事業計画に整合した必要人財の確保を継続的に行い、組織能力を獲得するとともに、個人のキャリア開発・エンゲージメントと整合する適材適所配置を実現することを目指しています。各等級ステージに求められる姿勢・スキルを学ぶ「会社が指定する学びの機会」の提供に加え、自律した学びを進め、リスキルを促進するための「自身で学びを設計する支援」を行っています。
2021年度より目標評価制度と、セルフラーニングの基盤を統合したシステムを導入しています。自分の仕事の価値を高めるためにどんな学びが必要なのかを、上司とシステム上でコミュニケーションし、自分の学習をアップデートしていきます。その取り組み状況は上司も把握できるようになっており、また、各組織に留まっていた研修などの資料や動画などのナレッジを全社で共有し、活きた学びに触れる機会を増やしています。2022年度からは同システムに「キャリアプラン」を導入しました。全員が自分の経歴や経験・資格の棚卸と、今後の方向性などの意志を明確にするワークシートを活用し、キャリアの方向性を可視化。中間および期末の目標に対する進捗・評価面談の実施に加え、個別の学びや能力開発、業務の状況に合わせ、適宜上司と強みや今後の能力開発テーマについてのコミュニケーションを図る体制をとっています。また、マネジメントの質向上に向けた取り組みとして多次元の業績評価(360度サーベイ)を実施しています。
(3月期)
2020年 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
2024年 |
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総額(百万円) | 142 | 131 | 132 | 176 | 219 |
1人当たり費用(円) | — | — | 91,411 | 76,905 | 84,401 |
1人当たり時間(時間) | — | — | 21.9 | 25.5 | 23.3 |
※ACP:アドバンス・ケア・プランニング(人生会議)。人生の最終段階の医療・ケアについて、本人を主体に、家族や医療・ケアチームなどが、事前に繰り返し話し合うプロセス
自分はどう成長したいのか、誰のためにどんな価値を提供したいのかを考え、目標管理と能力開発を行う「成長プラン」を導入しています。介護を通してお客さまにどのような価値を提供するのかを示した『5つのコアバリュー』をもとにした「5つのサービスのスタイル」と「3つの仕事のスタイル」を軸に、「会社からの期待」「職員の目指したい姿」と「現状」とのギャップを常に確認しながら、上司と相談し、ステップを踏んで専門性を高めていきます。
具体的には「成長プラン」というシートを活用し、まずは社員自身が「目指したい姿」と高めたい「専門性」を意思表示。そのうえで「会社からの期待」を踏まえ、毎年期初に、上長とその年度の目標設定を行います。中間および期末に目標に対する進捗・評価面談を行うことに加え、日々コミュニケーションをとりながら、社員の目標達成と専門性の向上を支援しています。
新たなスキルや知識を身に付けた後、リスキルを活かした自己実現を図るため、グループ内各社を横断して、次のキャリアの異動希望を提出できるグループ公募制度を提供しています。従業員自ら手を挙げて、新たな仕事にチャレンジできる機会となっており、自律的なキャリア開発を尊重しています。
2022年12月、公益社団法人企業情報化協会が、"IT を活用した経営革新"に顕著な努力を払い優れた成果をあげたと認めうる企業・機関・事業所・部門に対して贈るIT賞において、「ベネッセグループのIT・DX部門の全社統合による事業推進体制の構築」がトランスフォーメンション部門にて受賞しました。受賞にあたって、「事業そのもののDX転換と横断的な人財の育成を軸とした取り組みはDXの本質をついたものであり、大いにベンチマークされるべきである」との評価をいただきました。
なお、介護現場でのデジタル化の取り組み「マジ神AIの開発」が顧客・事業機能領域において、同時受賞しています。
株式会社三菱総合研究所主催、東洋経済新報社協力、厚生労働省・東京証券取引所が後援する、社員のキャリア形成や活躍機会の提供を志向している企業を表彰する「第4回プラチナキャリア・アワード」にて、ベネッセホールディングスが「優秀賞」を受賞しました。表彰理由は以下のとおりです。
2021年5月に、経済産業省が定めるDX(デジタルトランスフォーメーション)認定制度に基づく「DX認定事業者」としての認定を取得しました。
最終更新日:2024年07月18日