ベネッセグループは、企業理念「Benesse(よく生きる)」に基づき、すべての人の人権を尊重することを企業活動の前提としており、「人」を軸とする教育や介護の各事業において、人権教育などの取り組みを推進しています。
ベネッセグループ全体で人権方針に基づく取り組みを実践し、お客さまをはじめとしたステークホルダーの皆さまの「よく生きる」を力強くご支援することで、サステナブル(持続可能)な社会の実現へ貢献していきます。
ベネッセグループの事業活動は、企業理念「よく生きる」に基づいたものであり、すべてはお客さまの信頼のうえに成り立っています。
また、お客さまをはじめとするステークホルダーとの共創にあたっては、多様性の尊重や個々人の尊厳を守ることが大切です。
この考えにたって、私たちは、人権方針を策定します。
本方針は、ベネッセグループ(株式会社ベネッセホールディングスおよび連結子会社)のすべての役員と従業員に適用されます。
また、当社の事業活動(AIなどの最新技術を用いた事業活動を含む)に関係するすべてのステークホルダーの人権の尊重を推進していくため、従業員に対して啓発するだけでなく、取引先を含むステークホルダーに対して、調達基本方針などを通じて、人権尊重への配慮を要請しています。
【人権尊重の原則と規範の追求】
私たちは、「国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約)」、「労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関の宣言」、および国連「グローバル・コンパクト10の原則」、「ビジネスと人権に関する指導原則」、および「子どもの権利とビジネス原則」をもとに、人権尊重の取り組みを推進していきます。
【当社の人権尊重の責任】
私たちは、自らの企業活動や事業活動において、強制労働および児童労働を禁止します。また、 多様性を尊重し、 国籍・人種・民族・宗教・思想・性別・年齢・障がい・性自認・性的指向・性表現・雇用形態による 差別や人権の侵害を行いません。なお、機会は常に平等であり、採用、配置、評価、報酬および昇進は、本人能力・経験や成果に基づいて行われ、ジェンダー間で統一された報酬体系を適用しています。
私たちは、教育と介護のリーディングカンパニーとしての責任を持ち、商品・サービスの提供にあたっては、必ず人権に配慮します。
また、職場内においても多様性も尊重し、自分らしさをお客さまをはじめとするステークホルダーの「よく生きる」のために発揮しながら、自らの責任を全うします。
【労働基本権の尊重】
私たちは、結社の自由および労働者の団結権、団体交渉の権利など、労働基本権を尊重します。
【働きがいのある職場環境】
私たちは、最低賃金の遵守や長時間労働の削減、ハラスメントの撲滅とともに、社員の安全と身体的および精神的健康に配慮し、働きがいのある職場環境づくりに努めます。
【人権デュー・デリジェンス】
私たちは、人権デュー・デリジェンスの仕組みを開発し、自社の人権への負の影響を特定し、その防止、または軽減を図るよう努め、継続的に活動を実施していきます。
また、ビジネスパートナーおよびサプライヤーによる人権への負の影響が、ベネッセグループの事業・サービスと直接的または間接的に関与している場合は、これらのパートナーおよびサプライヤーに対しても、人権を尊重し、侵害しないよう求めます。
【適用法令の遵守】
私たちは、国際的に認められた人権基準を最大限尊重することはもとより、事業活動を行う国または地域における法と規制も遵守します。
【教育】
私たちは、本方針が企業・事業活動それぞれの現場で組み込まれ、かつ定着するよう、従業員に対して教育と研修を継続的に行います。また、従業員一人ひとりが人権の尊重を十分理解し、実践できるようにします。
【救済】
私たちは、人権に対する負の影響を引き起こした、あるいはこれに関与したことが明らかになった場合、適切な手続きによってその救済に努めます。
【対話と協議】
私たちは、本方針に基づく人権尊重の取り組みについて、ウェブサイトなどで開示します。 また、自社の人権に対する潜在的および実際の負の影響に対応するために、関連するステークホルダーと対話と協議を行っていきます。
2020年6月22日制定
2023年11月30日改定
ベネッセグループでは、ベネッセグループの事業に関わるステークホルダーの人権を尊重する取り組みとして、代表取締役社長直轄の「サステナビリティ推進委員会」を設置し、取締役会への報告をしています。日常的な人権尊重に関しては、人権推進分科会として、人権に関するコンプライアンス違反・法令順守をコンプライアンス・セキュリティ本部、人権デュー・デリジェンス/ダイバーシティ推進をサステナビリティ推進本部、従業員への人権啓発・研修を人財本部が担い、3本部が三位一体となって人権尊重の取り組みを強化しています。組織的に人権への学びを深めながら、今後も人権の取り組みをグループ全体で継続的に実施し、サステナビリティ推進委員会を通して、グループ人権方針の遵守およびその取り組みを監督してまいります。
当社は、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、2020年より外部専門家の協力のもと、人権デュー・デリジェンスを毎年、継続的に実施しています。具体的には、2020年度より毎年、継続的にグループ内のほぼ全社(従業員率90%)にて人権アセスメントを実施しており、人権リスクの特定・調査から問題・課題を析出し、それらを是正改善、および予防するための施策を継続実施しています。結果については、サステナビリティ推進委員会にて経営報告および翌年度計画の検討を行っています。
人権アセスメントで確認する人権リスク項目は、考慮すべき人権課題を定義している国際規範・ガイドラインを踏まえるとともに、自社の人権に関わる勤務規律・職務規律を参考に、グループの企業活動に関連があり考慮すべき項目および課題に基づいて構成しています。
ステップ1 | ステップ2 | ステップ3 | ステップ4 |
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踏まえるべき規範の確認 | アセスメントシート設計 | 人権アセスメント実施 | 評価と報告 |
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人権アセスメントの結果、事業活動が人権に与える影響として、以下の重要課題を特定し、それらに対して継続的なリスク管理が行われていることを確認しました。特定されたリスクに対しては、是正・改善・削減対策をとるよう各社・事業所に指示しています。
子ども向けの教育事業を展開する当社にとって、義務教育の妨害や、条約で禁止されている18歳未満の危険・有害な労働によって、子どもの権利が侵害されることは、決して許されることではないと考えております。
また、介護事業や塾事業など、ベネッセグループの事業の多くは、人を介した高付加価値のサービスをお客さまへ提供しており、企業活動の中で、「基本的人権の尊重」を大切にしています。
特定したグループ内の人権の重要課題については、継続的にグループ全社にて状況を確認してまいります。
特定された人権の重要課題 | 特定した人権の重要課題への是正・改善・取り組み |
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児童労働の撲滅 |
グループ各社の人権アセスメントにおいて、雇用時の年齢確認などの児童労働防止に関する項目を設け、毎年確認を行っている。また外部機関による児童労働の実効的な廃止などを含む国連グローバル・コンパクトの原則に基づいた監査を定期的に実施するとともに、ベネッセグループ人権方針の周知など、人権尊重の啓発を実施している。また、サプライヤーにおける人権尊重と労働環境が維持できるよう、海外取引先との意見交換会を毎年実施し、継続的に管理強化を確認している。 |
虐待の防止 | 介護事業では、虐待の芽を早期に発見し、未然に適切に対処するために全介護職に対し定期的なアンケートを実施している。また、ホーム内の虐待を防止するための委員会を定期的に開催している。 |
職場におけるハラスメントの防止 |
従業員の意識啓発のため、規範となる文書の読み合わせや、管理職・従業員対象のハラスメントに関する研修などを実施している。また、専用の相談窓口も設置している。 |
消費者利益の尊重 | 消費者の安全確保のために、商品・サービスのわかりやすい説明・表示を徹底するとともに、消費者から寄せられたご意見・ご要望に対しては内容を分析のうえ、すみやかにエスカレーションを行い、人権リスク(健康・安全への害など)に関わるものは商品安全審査部や製造工場にて安全性の検査や原因分析、改善する体制を整備している。 |
ベネッセのサプライチェーンでは、海外の製造委託先工場(中国、ベトナムなど)において、社会倫理的な観点による監査の実施を行っています。なかでも、人権デュー・デリジェンスにおいて重要課題となっている児童労働や、虐待、ハラスメントなどを含む非人道的な扱いがないかについて、最重点項目として確認するとともに、ベネッセグループの人権方針の周知を行い、人権尊重の啓発を行っています。2022年度からは毎年、中国の生産工場の経営者を集め、上記の重要課題を含めた生産現場での健全なサプライチェーン構築の重要性について説明し、意見交換を行っています。今後も全メーカーとの意見交換を行う定例会を継続して実施予定です。また、国内の工場においても同様の定例会を持ち、定期的に意見交換を行っています。
これらのステークホルダーエンゲージメントを通じて、改善すべき点が見つかった場合には、生産工場と協働して改善を進めています。これまでに以下のような改善を行っています。
ベネッセグループはグローバルで事業を展開しており、グループ内のダイバーシティ、エクイティ&インクリュージョン(DE&I)を推進しています。ハラスメントや差別の問題に対し、各種方針の浸透や、研修の実施など、さまざまな対策を講じています。
また、外国人従業員に対し、入社時に在留資格の確認を行うとともに、強制労働につながるような、パスポートなどの従業員の重要書類の会社保管を求めることはしておりません。
ベネッセグループの人権に関する研修に関してはページ内の「人権研修」、およびベネッセグループのダイバーシティ、エクイティ&インクリュージョン(DE&I)の推進に関しては以下ページもご参照ください。
ベネッセグループは、人権や差別、ハラスメントを含むコンプライアンス事案を、報告・相談できる内部通報窓口を設置しています。
内部通報窓口 | 概要 |
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ベネッセグループスピークアップライン | 違法・不正な行為、定款・社内規程の違反行為を発見した場合の通報窓口 |
監査役直通ホットライン | 経営層の関与などの可能性がある場合の通報窓口 |
※これらの窓口は、社外に設置され、匿名での利用を可能とするなど、安心して利用できる運用を徹底しています。
2022年度の内部通報実績は以下の通りです。
(3月期)
2023年 |
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内部通報件数 | 260 |
上記に加え、従業員がハラスメントに関して相談できる外部専門機関の相談窓口や、グループ障がい者配慮に関する相談窓口も設置しております。また、グループ各社におけるお客さま窓口でも各種ご報告・ご相談を受け付けています。
これらのハラスメントを含む人権侵害に関する再発防止策の取り組みについては「人権研修」、および「介護事業における人権」もご参照ください。
ベネッセグループでは、ベネッセグループ人権方針において、基本的人権の尊重を掲げ、企業活動において一人ひとりの人権を尊重します。国際人権規約などの国際規範において認められている表現の自由やプライバシー権保護についても、人権侵害がないよう注意を払っています。
グループ内の人権啓発活動の一環で、毎年、グループ全従業員向けの人権に関する全社朝礼(人権DAY)での社内講演会や新入社員向けの人権研修、管理職・従業員向けのハラスメント研修を行っています。ハラスメント研修では、事例学習や相談時の対応スキルの向上などを行い、事案発生の抑制に努めています。また、2021年度より毎年、グループ全社の人権担当者向けの教育機会として、専門家・有識者との意見交換や最新の情報を学ぶための研修「人権勉強会」を定期的に開催しています。2023年度は、人事担当者・管理職向け人権研修、グループ全社員を対象としたLGBTQ研修、AI倫理をテーマとした人権に関する社内講演会などを実施しました。
ベネッセグループは子どもたち一人ひとりの「学び」「生活」を支え、未来を切り開く力を築くことを支援します。マテリアリティとして「多様化、多層化する学びに対する支援と意欲を高める教育の実現」を掲げており、あらゆる人の学ぶ意欲に応え、アクセシブルな学びを提供し、成長できる未来を創ることを目指しています。
ベネッセコーポレーションが提供する英語検定「GTEC」では、「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能に対し、障がいを持つ方に配慮し、点字版や拡大版、リスニング・スピーキングテスト時の時間、採点の配慮などを行っています。
小学校の通常級では支援や配慮を必要とする児童が増えていると言われ、同時に先生の数の不足が課題となっています。ベネッセコーポレーションは読み書き・認知特性の基礎スキルを測り、児童一人ひとりの特性に合わせた「学び方」を提供することで児童に自信をつけていくことができるICT学習サービス「まるぐランド for School」を提供しています。
「まるぐランド for School」は
①チェックテストでの特性の把握
②個別最適化されたレッスンを自動提案
③児童の取り組みの様子や成長を可視化
という特徴を持ち、2023年度の調査においては、1回目テストから4か月後の2回目テストで集団全体の読み書きスキルが向上するという学習効果がみられています。
2024年8月からは発達特性からの”学びにくさ”を感じている小学生への家庭学習支援「まるぐランド for HOME」を開校予定です。
高齢者介護サービス事業などを展開するベネッセスタイルケアでは、老人福祉法に則って運営され、高齢者虐待防止等の人権に配慮する法律に基づいて自治体の監査や社内の内部監査が実施されるなど、人権保護の徹底、推進が仕組み化されています。その実践にあたっては、お客さまと従業員の「よく生きる」を実現するために、従業員が何を大切にしなければならないのか、その判断基準と行動のあり方を示す「ベネッセスタイルケア宣言」を制定しています。その中では、「お客さま本位」を第一に掲げ、お客さまの「自分らしく生きること」を何よりも優先することを宣言しています。また、業務を行ううえでは人権に十分配慮し、人種・国籍・信条・性別・障がいの有無等による差別など、特定の属性を有する人々が不快と感じ、不利益を被るような表現、行為を行わないことを、行動の基準と定めています。
すべての従業員は年に1度「ベネッセスタイルケア宣言」の研修を行い、定期的に周知徹底と意識向上を図っています。
虐待防止の対策として、虐待の芽を早期に発見し、未然に適切に対処するために全介護職に対し定期的なアンケートを実施しています。その中であがった声に対して、一つひとつ改善に向けて取り組みます。また、ホーム内の虐待を防止するための委員会を定期的に開催し、お客さまおよび従業員の安全確保に努めています。さらに「虐待対応基準」を定めて発生時は適切な対応を徹底しています。ハラスメントの対策としては、管理職およびリーダー層向けの研修の実施や従業員への相談窓口の周知を行うとともに、従業員に対するご利用者やご家族などからのハラスメントに対しては「ハラスメント対応ガイドライン」を策定し、介護現場で働く従業員が安全に、安心して働き続けられる環境の実現を目指しています。
また、障がいのある人に就労の機会を提供し、さらには一般就労に導いていくことを役割として、グループにベネッセソシアスを2016年に設立し、ベネッセスタイルケア各ホームご入居者の衣類やタオル等の洗濯業務を委託しています。就労継続支援A型事業所を2カ所、東京都認証ソーシャルファーム事業所を1カ所開設しています(2024年5月現在)。
最終更新日:2024年07月17日